ロンドンドライジンとジェネヴァ、300年前の原型とその洗練形
ジントニックでおなじみのジン。その原型は、16世紀のオランダで薬用酒として生まれた「ジェネヴァ」にさかのぼります。ジェネヴァが17世紀にイギリスへ渡り、蒸留技術の発展とともに洗練されていった先に生まれたのが、今よく見る「ロンドンドライジン」です。この2つの違いを、蒸留方法という1つの軸から見てみます。
比較表
| ジェネヴァ | ロンドンドライジン | |
|---|---|---|
| 誕生 | 16世紀 オランダ(薬用酒として) | 17世紀以降 イギリスで発展 |
| 最初の蒸留 | 単式蒸留器(ポットスチル)で2〜3回 | 連続式蒸留機で高純度に |
| ベースの酒質 | 大麦などの穀物由来の「モルトワイン」 | 純度の高いグレーンスピリッツ |
| 味わい | 原料の穀物由来の香味が残り、モルトウイスキーに近い重厚さ | 雑味が少なく、クリアで高いアルコール度数 |
※「ロンドン」は産地の規定ではなく製法上の呼称のため、ロンドン以外(日本産を含む)で造られたものも、規定を満たせば「ロンドンドライジン」と名乗れます。
連続式蒸留機の登場が、ジンを大きく変えた
ジェネヴァは、大麦などの穀物を単式蒸留器で2〜3回蒸留した「モルトワイン」をベースに、ジュニパーベリー等のボタニカルを加えてさらに蒸留して造られます。原料の穀物由来の香味がしっかり残るため、モルトウイスキーに近い、どっしりとした味わいが特徴です。
一方のロンドンドライジンは、まず連続式蒸留機を使って、アルコール度数96%以上という非常に高純度な「グレーンスピリッツ」を造ります。ここには原料由来の雑味がほとんど残りません。このクリアなベースにボタニカルを加えて単式蒸留器で再蒸留することで、雑味が少なくすっきりとした、現代でよく飲まれるジンらしい味わいに仕上がります。連続式蒸留機の発展によって、より純粋なベースを造れるようになったことが、ジェネヴァからロンドンドライジンへの進化を後押ししました。
「ロンドン」は場所ではなく、作り方の名前
意外と知られていませんが、「ロンドンドライジン」という名称は、ロンドンで造られていることを保証するものではありません。EUの規則で定められた製法・規定を満たしていれば、世界中どこで造られたものでも(日本産であっても)ロンドンドライジンと名乗ることができます。つまりこれは産地呼称ではなく、製法の名前なのです。
まとめると
ジェネヴァは300年以上の歴史を持つジンの原型で、原料由来の重厚な味わいが魅力。ロンドンドライジンは、連続式蒸留機による高純度化という技術発展の先に生まれた、よりクリアで洗練されたスタイルです。同じ「ジュニパーベリーが香る蒸留酒」というくくりの中に、歴史の古さが違う2つのスタイルが共存している、というのがジンの面白いところです。